吉村 和真 [ Kazuma Yoshimura ]

改造人間の宿命対立・結集する9人悪の軍団ブラックゴーストは、世界各地から9人の男女を拉致し、最強の兵士とすべくおのおのに超能力を与えた。改造人間=サイボーーグの誕生である。日本人の母と国籍不明の父の間に生まれた主人公・島村ジョーは9人目で、009と名付けられる。
国籍も能力も様々な001〜009の9人のサイボーグは、生みの親・ギルモア博士とともに脱走。人間の心を持ちながら人間ではないという宿命と戦いながら、プラックゴーストや世界の悪人と死闘を繰り広げる。
本作の見どころは、何といっても9人の超能カだ。高速移動できる「加速装置」や飛行能力、変身能力、全身に仕込まれた武器、鉄も砕く径力、火炎放射など、それぞれの描き分けが作品の評価を左右したといってよい。9人の個性が光り、対立し、結集するさまは、敵との戦いよりもスリリングだった。
9人の能力や出自と容姿との関係を考察したことがある。欧米の出身者と中国、アフリカ出身者の能力の違い、唯一の女性・003の役割、混血児」であるがゆえの009の悩み……。そこには当時の読者が様々な人種や国民性に対して抱くステレオタイプなイメージが、見事なまでに反映されていた。
顔や体形、服装など、マンガの登湯人物は、外見で役割や性格を描き分ける必要がある。石ノ森章太郎の卓越した筆力なしに、この名作が生まれることはなかっただろう。
(京都国際マンガミュージアム研究統括室長 吉村和真)

少年画報社「少年キング」で64年連載開始。様々な雑誌に85年まで断続的に描き続けられるも未完に終わる。アニメ、小説版あり。


朝日新聞記事(2008/07/15)より 無断転載禁止

トップページ コラム 「朝日新聞」「熱血マンガ学」 サイボーグ009