伊藤 遊 [ Yu Ito ]

本格ミステリー 小道具も魅力作者の青山剛昌自身の言によれば、本作は同時期、ライバル誌「週刊少年マガジン」で人気だった「金田一少年の事件簿」のような作品を描いてほしい、という編集部の依頼で始められた。
高校生探偵の工藤新一はある時、謎の犯罪組織に体を小さくされ、小学生・江戸川コナンとして、正体を隠す生活を強いられる。新一=コナンは元の生活を取り戻すため、組織の謎に立ち向かうことになり、その過程で出合う難事件を次々と解決していく。
コナンも金田一も、論理的なトリックと密室などの派手な設定、極端な個性を持つ登場人物で構成される新本格派ミステリー小説を強く意識している。ミステリーファンの間では「今週は金田一のトリックは解けたけど、コナンは解けなかった」といった会話が交わされるようになった。
運動音痴の金田一少年と違い、コナンを運動神経抜群に設定したことで、アクションマンガとしても楽しめる。声色を変えられる蝶ネクタイやキック力増強靴など、次々と登場する小道具は、伝統的な少年マンガのワクワク感を喚起させる装置として機能している。
新一を小さくした犯罪組織が、全編を通してその影をチラつかせている構成も重要だ。連載開始から15年たっても全容を現さないという最大の謎が解決されないことで、コナンがひとつの事件を解決したとしても、読者は油断できないまま次の話を待つことになっているのである。
(京都国際マンガミュージアム研究員 伊藤遊)

94年から「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中。単行本は65巻まで発売されている。作者の出身地、烏取県北栄町では各所に本作のキャラクター像が設置されている。


朝日新聞記事(2009/10/22)より 無断転載禁止

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