Kenji Kobayashi artwork 2021
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CURATORS CUBE X 小林健二

CC : 今回は全てが新たに取り組んだ作品群であるということで、大変ありがたい機会をいただきます。2020-2021年、作家・鑑賞者共に展覧会などへの関わりが難しい中でしたが、その期間に制作された本作品群について先ずは簡単にお話聞かせてください。

小林:やはりこの様な状況ですから、作品を観てくださる方々に多少でも元気な気持ちを感じていただければと思いましたし、自分でも明るい気持ちで製作できるように努めました。

この様な状況ではなくても大抵引きこもって製作しているのですが、今回は一点一点に実験的な試みもし、手が多く入っていると思います。

ぼくとしては、ある意味で人の世を守ってくれる怪物の様なものを描きたかったのかも知れません。

CC : 守護者或は守護物といった物は自自または自他が支え合うという意味で、2020年以降の不安定な時勢の中で重要度の増したものの一つかもと感じます。そういった守護者の映るそれぞれの作品は各々に様々な技法を含み、ユニークな振動を放っているよう感じます。幾つかの作品における具体的な技法とそれが奏でる影響についてご自身なりの狙いというものがあれば聞かせてください。

小林:大抵はパネルかキャンバスの上に油彩で描いたものですが、部分的にその他の技法も使っています。それぞれの作品にバリエーションを連作して行くことが一般的だと思いますが、今回はなるべく色々な表現の仕方で、観てくださる方々に印刷物のような複写されたものからではなく、実物からではないと感じられない要素があるということに重点をおいて描きました。

CC : 仰るよう1点ずつが独立した波動のようなものを持っていますし、それらが並んだ時にいわゆる連作的な作品群とは異なる響き合い方があり、個性とか協調といった感覚が明るく胸に飛び込んできました。そういった印象の背景と関連するのでしょうか、作品と色彩の関係についても興味があります。これまで多くの国を訪ね或は国内においても多くを歩き、小林さんのスタジオは沢山の色が溢れています。作品における色というものの役割や色を扱う際に意識をしていることがあれば聞かせてください。

小林 : 色彩やマチエール(画肌感)から来るものは、油彩画特有の技法を使って、たとえば削り出し(グラッタージュ)、透明な層を重ねる(グラッシュ)、盛り上げ(インパスト)、拭き取り(エスイヤージュ)こすり出し(スキャンブリング)、流れ込み(オンフリュード)、ヒビ入れ(クラクール)などなど・・・。つまり色はカラーチャートのようなものではなく、その表面効果や透明感なども絡み合っていると思います。

CC :  なるほど。それらの技法とも関わり合う要素としての文字或は文字的なものについてもお話を聞かせてください。これまでも多くの作品に文字または文字のようなものが表れていましたが、この新作群でもそれらが強く印象的な役割を果たしているように感じます。また文字のない作品においても、画面上に刻まれる多くの線がどこか文字のように鑑賞者の身体に飛び込んでくる感覚があります。今作品群に表現されている文字の意味、或は線に込められた思いのようなものがあれば教えてください。

小林:大抵の場合、人にとって絵画はともかく文字に対しては、たとえ読むことができなくても、意味の様なものが何がしか介在していると感じると思います。ですから今回は文字のないもの、読もうと思えば読めるもの、かと言って意味が分かるかといえば不明なもの、記号の様なもので言葉としては理解しにくいもの、それらを含めて作品に付加された要素として感じていただければと思います。

言い換えれば、言葉や描画だけで表現できないものを描きたかったと思ってください。

CC :  2020年から続く世の中のムードについて、或はこれから私たちが心を配るべき振舞いについて、これらの作品群の持つ意義や願いの様なものがあれば聞かせてください。

小林 : 自分を見つめる時間や、この世の色々な側面を考える時間もとても必要なことだと感じますね。

CC :  僕が小林さんの作品に出会ってから20年弱、長い時間があった後の2019年にようやくお会いすることが出来ました。20年前或は作家として活動を始めた40年以上前と現在と、制作にあたってどのような変化があるのか或は無いのか、湧き上がる美しさの源に興味がつきません。そのあたりでお話があれば聞かせてください。

小林 : 話し始めるとキリがないけど・・・(笑)。でもこれだけは言えるかもしれない。ぼく自身子供の頃からあまり変わっていないというところがあって、絵に描くということは、つまり普段目に見えない心の中にある風景を描いているという事かしら。

ぼくには幼い頃から軽い(?)対人障害があって人が多く居る場所が苦手だったんです。そんな時、話とかすると直ぐ支離滅裂になっちゃってね(笑)

若い時は随分良くなっていたけど、歳と共に素に戻ってゆくのかな?・・・ただその代わり心の中に一つのプリズムの様なものが再び戻って来て、突然風景の様なものや音楽の様なものを感じたりしてね。でも脈略がないから人にも話せないし。フムイヌルイの森、フルーツの香りの音楽が空で姿を現したり、雲が蜃気楼のようにレンズになる様、海の上のグニラの柱・・・今回は少しだけ作品に反映されているのかな。

*案内状より

200,9/23-30 (14:00-20:00)兵庫県にある月光百貨店(芦屋市茶屋之町12-2)において小林健二作品「土星装置」が展示されます。同時に小林健二が監修しております銀河通信社の特別アイテムもお楽しみいただけます。

レンズから覗くと青く輝く土星が静かに回っている作品です。

絵画作品とはまた別に電気仕掛けの作品も多数発表していて、土星作品は小林の代表作の一つでもあります。そこでこれまでに土星をモチーフにした作品から年代順に何点か選び紹介してみます。

「土星標本箱」1991*左下のスイッチを押している間中、土星が青く光って回転している作品
[九三式土星望遠鏡」1993*窓から見える青く光る土星が緩やかに不思議な回転をする作品
「星のいる室内」1993(点灯している状態。室内に明かりが灯っています)
「星のいる室内(部分)」1993*ドールズハウスのように仕上げられた作品の天窓から覗いた状態。やはり土星が回っています。
「土星のいる部屋」1997
[土星装置」1997*この青く光りながら回転する土星の他に、輝く星が見えています。
「九八式土星望遠鏡(無限への同調-IN TUNE WITH THE INFINITE)」1998
「SATURN OF CEPHEIDS」2000
「八八式土星望遠鏡」1988-2006*真っ暗な部屋でこの作品を見ていると、土星に手が届きそうな感覚になります。
「九一式土星望遠鏡」1991-2006*土星があたかも目の前に飛び出してくるような感覚に襲われます。
「土星夜」2015*地球外からの電波を受信する不思議な装置。自作の大きなレンズの中に土星が青く光って回っています。
「土星夜」を正面から見た状態。左下に見える自作結晶が色彩をゆっくりと変えていきます。
「土星夜」の部分。
「土星装置」2019*今回展示される作品です。

この展覧会の記事。https://news.yahoo.co.jp/articles/0b2808c1839d7621bffe230a1b29af6398ca3e1f

「透質層と透明体(9/21-10/19)」開催期間中に作家からの話を聞きたいとの要望が増え、急遽10/5にギャラリートークが企画されました。

小林健二個展 [透質層と透明体] Gallery TSUBAKI
小林健二個展 [透質層と透明体] Gallery TSUBAKI
小林健二個展 [透質層と透明体] Gallery TSUBAKI
10/5ギャラリートークの会場 Gallery TSUBAKI

今回も小林健二による不思議な世界が画廊に現れ、素材感を忘れさせてしまう風景が表出されていました。それでもよくよく作品を覗き込んでみると「どうやってこの透明感が表現されているの?」「いろいろな形を持った透明体は何?」「透明と言っても一種類ではないのが不思議」

小林健二作品
小林健二作品[透質層と透明体]部分
小林健二作品[透質層と透明体]部分
小林健二作品[透質層と透明体]部分
小林健二作品[透質層と透明体]部分
小林健二作品[透質層と透明体]部分
小林健二作品[透質層と透明体]部分

私たちの生活の中で透明なものと言ったら「水」を思い浮かぶかもしれません。人によっては「ガラス」や「プラスチック」?でも比べてみるとみんなそれぞれに透明なもの・・・大きな括りの中に存在する透明なものたち。

小林健二作品[透質層と透明体]部分

小林健二が好きなものをあげるときに「水晶」や「クラゲ」と言ったものがしばしば上がります。

そして「透明なものが好き」と話します。まさに好きなものがテーマとなっているこの展覧会だから、作品からはゆったりとした無垢な雰囲気が漂っている、勝手にそう感じていました。

小林健二作品 [遥かな花を眺るままに] 2019
[遥かな花を眺るままに]作品を斜めから見てみると、透明、半透明、そして黒く描かれていたと思っていた部分は表面が削られて現れた下地の色彩、銀色にも見える。
小林健二作品[透質層と透明体]部分
近いところ
遠いところ
とても遠いところまで
全部同じ
(作品の下に描かれている記号のように見える文字?の意味ということです)
作品の凹んで見えている部分は実際に凹んでいて、キャンバスに描かれているこの作品はとっても不思議!
小林健二作品[透質層と透明体]部分
EMPTY
ANNULUS
PARITY
BEGINNING
TIME
MATTER
MAIND
(作品の下に描かれている記号のように見える文字?の意味ということです)


ギャラリートークでは透明な素材を加工するのに使用した小林の手道具などがテーブルに置かれ、多分それは本人が安心材料として持参して来たとも思われます。

綺麗に仕立てられているその道具についての話にたどり着く前に、質疑応答によりあっという間に予定の2時間が過ぎてゆきました。

今回の作品はやっぱり実物を見ることが大事と思えるものばかりでした。印刷物や撮影したものではとても感じ取れない、奥深さがありました。

同時開催された、小林健二個展[XEDIA] GT2
同時開催された、小林健二個展[XEDIA] GT2
同時開催された、小林健二個展[XEDIA] GT2

*会場に貼られたパネルの文章(標本仕様のXEDIA作品に付く小冊子より)

XEDIA

ケノーランドは絶対年代として、新太古代に存在していた超大陸である。

その後大陸の移動の分裂接合によって形成と破壊を繰り返しながらも、一部は近現代に至ってもなお盾状地(じゅんじょうち)として残っていた。この台地が最初に人間の歴史に記されたのは1612年にオランダの五人の登山家たちによるものだった。その台地の四面がほぼ垂直に切り立っているために当時は山頂部の状況は観測できなかったが、1860年代に地上より測量されおよそ標高3500m、四辺がそれぞれほぼ7kmである事が確認された。1930年代の偵察機及び空中写真術の発達により粗方の地図の作製を開始したものの、作業はその上底部が一年の9割近くを濃霧が立ち込めている事に依って難航し期間を要した。但し一部に800m位の滑走路として使用出来そうな平坦な場所が見つかった。当初それは光を強く反射する事から不安定な氷原とも考えられたが観測の末に着陸可能な場所として判断される。その後世界情勢の不安などの諸事情により1950年代初頭まで研究は中止されていた。1955年フランス及び英国によって結成された第一次調査隊によって辛くも着陸に成功したものの表面の薄雪により機体が安定せず、当日中に下山を余儀なくされた。その際その高地の滑走路を「奇妙な場所」としてパイロットたちはXedia(キセディア)と呼ぶようになった。1957年の第二次調査隊はそれまでの情報を精査していた為、登頂着陸に成功し38時間に及ぶ調査を終えて無事に帰還した。永い間その聳え立つ架空台地は外界との遮断によって、独自特別な生態系を持っていることが報告された。1960年代、各国の調査隊は発達した航空機、高山装備によって続々と新たな種の動植物及び鉱物を発見し、それらは一部の機関の耳目を集めたが資源確保、生態系保全の観点より1965年3月4日より公開を前提として、国連主導のもとWWF(世界自然保護基金)なども参加して本格的な調査研究が始められる。それにより1967年5月までに動植物等およそ6300、鉱物70余の新種が報告された。

しかし世界を最も驚愕させたのは人類、もしくはその亜種によって製作されたと思われる土器様の発掘物の発見であった。その発掘場所は暫時滑走路として使用していたキセディア地区であった。

発見のきっかけは着陸後の機体を整備点検していたパイロットが、航空機のタイヤの轍の下に氷のような透明な部分を見つけ、その下に何かが埋まっている事を知らせた事から始まった。

キセディアは直ちに規制され、急遽IARF(国際考古学研究機関)よりスウェーデン隊、日本隊が派遣された。これら出土品には特徴があり第一には、大きさが約10mmくらいから60mmくらいに収まり、分布状況が1.25mの正方面に意図的に配置されていること。そして第二には放射性核種、蓄積線量を検出できず、さらに熱残留磁気、地心双極子にも応答せず、これらの製作年代はまったく測定できないということだ。また、これらの発掘状況の全体像が把握しづらかったことは、この脆弱な人工的製作物は約20cm石英状硬透質の珪酸層に堅く包まれている状態にあったため、目視できても対象物を破損せずに回収することが技術的に障壁となり、一般には全ての状況は開示はしないまま次第に研究者の極度の体調不良、遅疑逡巡、意欲減退、各國の成果より資金不足及び世界情勢が再び混乱した事といった理由から1972年までに各国によって報道管制なども敷かれ、半ば強制的に再び「前世紀の闇中」にまで押し込められ忘れ去られていったのである。

(以上は大略で他は専門的な分野での仔細な報告となっているが判りづらい故に省略。)

共に付されている当時の報道の断片などを見ると、今にして思えば、この終焉には謎や疑問が多く残った。そもそも世界的な規模によって始められた研究計画がこの様に人心から消え去るものであろうか。そして特殊な考古学的発見に要因すると見られる一連の出来事が、他の貴重な諸々の研究までも中止に追い込んだという事なのか?確かに考古学隊のみ幻覚を伴う意識障害が重症化したと言う事柄は、その標本に直接触れた者だけの事であり、標本に付着した有毒物質や未知の原虫、細菌の感染も疑われていたからなのか。すべての研究に携わった者たちの沈黙に加えて、大国の政治的関与も囁かれる中でもあったと云う事だ。

ノートの断片よりー

ーかつてここに居たものたち・・・

硝子の大地に幻影を封じて

自らは何の心残りのないかのように

跡形もなく消え失せてしまった。

かつて 人格を持つ唯一の神などを求めず

岩や山、木や森、海洋を崇敬していたのだ。

大宇宙と意識を共有し

流れの中に記憶の種子を残していった・・・

宇宙には目的がある。

人間には計り知れない目的だが

それは穏やかな川の流れのようなものだ

それらは身を浸したとき、争いも競うことも不要になって

それほど多くを持たないまでも 

正当に命をまっとうできると伝えている。

小林健二


小林健二個展「透質層と透明体」

2019年9月21日~10月12日(日・祝休廊) 11:00-18:30

104-0031東京都中央区京橋3-3-10第一下村ビル1F tel:0332817808/ fax:0332817848

info@gallery-tsubaki.net

Gallery TSUBAKI

小林健二作品[Tremadictonreticulatum]
2019 mixed media
夕暮れが降りてくる。黄昏の帳(とばり)が一面に広がる遠い日々の数多(あまた)の思い出がどれも皆 煌煌(キラキラ)と蘇る。(小林健二作品に書かれた文章)

詳しい情報

透明なものを取り分け好む小林健二。

彼が子供の頃、家の前から都電で行ける上野の国立科学博物館は大好きな遊び場の一つでした。

子供にとっては一本で行けるこの交通手段はありがたいもので、学校を休んでは頻繁に出かけた様です。中でも当時の鉱物標本室は面白かったとの事で、水晶や方解石など、特に透明感のあるものに惹かれています。

彼の作品群に共通するイメージを見つける事ができ、それは電気仕掛けの作品や科学的テーマを主題とするものもありますが、彼から生まれる作品においては、透明を感じる透質層が施されている特徴がある様に思います。あくまでも素材が「透明なもの」という意味ではなく、印象としての透明感です。

描かれているものは怪物であったり、腔腸類を思わせる形態や、山や岩という天然だったり・・・

様々であるにも関わらず、不思議とその向こう側に存在する透明な世界を思わせるのです。

心象風景とでもいうのでしょうか、そんなところも彼の作品の魅力です。

展覧会ごとにテーマを立てる小林健二ですが、今回は「透質層と透明体」という、彼が好んで触れてきた世界観が単刀直入に表現されています。

そしてギャラリー椿に隣接するスペースGT2では「XEDIA(キセディア)」という神秘的な場所がテーマになっていて、標本箱仕様の作品が多数展示される予定です。


小林健二個展「XEDIA」*同時開催9/21-10/12(日・祝休廊)11:00-18:30

104-0031東京都中央区京橋3-3-10第一下村ビル1F GT2


XEDIA(キセディア)と呼ばれる奇妙な場所からの発掘品

XEDIA(キセディア)と呼ばれる奇妙な場所からの発掘品
XEDIA(キセディア)と呼ばれる奇妙な場所からの発掘品

*以下小冊子「XEDIA」より抜粋

ーXEDIA

ケノーランドは絶対年代として、新太古代に存在していた超大陸である。

 その後大陸の移動の分裂接合によって形成と破壊を繰り返しながらも、一部は近現代に至ってもなお盾状地(じゅんじょうち)として残っていた。この台地が最初に人間の歴史に記されたのは1612年にオランダの五人の登山家たちによるものだった。その台地の四面がほぼ垂直に切り立っているために当時は山頂部の状況は観測できなかったが、1860年代に地上より測量されおよそ標高3500m、四辺がそれぞれほぼ7kmである事が確認された。

(中略)

1955年フランス及び英国によって結成された第一次調査隊によって辛くも着陸に成功したものの表面の薄雪により機体が安定せず、当日中に下山を余儀なくされた。その際その高地の滑走路を「奇妙な場所」としてパイロットたちはXedia(キセディア)と呼ぶようになった。

(中略)

これら出土品には特徴があり第一には、大きさが約10mmくらいから60mmくらいに収まり、分布状況が1.25mの正方面に意図的に配置されていること。そして第二には放射性核種、蓄積線量を検出できず、さらに熱残留磁気、地心双極子にも応答せず、これらの製作年代はまったく測定できないということだ。また、これらの発掘状況の全体像が把握しづらかったことは、この脆弱な人工的製作物は約20cm石英状硬透質の珪酸層に堅く包まれている状態にあったため、目視できても対象物を破損せずに回収することが技術的に障壁となり、一般には全ての状況は開示はしないまま次第に研究者の極度の体調不良、遅疑逡巡、意欲減退、一部には重厚の精神障害を発症とも?関係国の成果よりも資金不足及び世界情勢が再び混乱した事といった理由から1972年までに各国によって報道管制なども敷かれ、半ば強制的に再び「前世紀の闇中」にまで押し込められ忘れ去られていったのである。

(後略)

*標本箱仕立ての作品にはそれぞれの作品表紙がついた小冊子がついています。(展示即売)

2019,4/26-5/7東京中野Galleryリトルハイで開催された小林健二個展[結晶標本-Crystal Specimen]の会場風景です。結晶作品は展示即売だったので、画像は初日オープン前に撮影したものです。

小林健二個展「結晶標本」(手前に見える黄色い結晶5点はUVライトで発光する結晶です)

手持ち式ライトを使用して、結晶に自由に光を当て透明感を楽しんだり、UVライトで蛍光する結晶は、手持ちUVライトで光らせたりして、子供から大人まで楽しめる雰囲気の会場です。

小林健二個展「結晶標本」開放的なギャラリーの入り口から見た風景。奥には新作の土星作品が見える。

新作の土星作品を鑑賞するときは会場のライトを一旦消して暗くし、土星が青く光りながら浮き上がって回転している様を楽しんだりと、お客様と作品との接点が近い展示内容でした。

小林健二個展「結晶標本」(何年も繰り返された実験から生まれた結晶の数々。とりわけ透明なものが好きと話す小林健二の世界が息づいています。)

小林健二個展「結晶標本」(上の段に見えるのが不思議結晶。光に透かすと、想像を掻き立てられる模様が浮き上がる。「窓の向こうの世界が見えるよう」「海面に浮かぶクジラ」「猫の陰影」などなど・・・見る人の心象風景が面白い。)
小林健二個展「結晶標本」4/27作家来訪の時の模様。

4/27の土曜日の夕刻より小林健二在廊と告知したことにより、作家に会いにきた方々で溢れました。GW期間中での展覧会。移動の多いこの時期に会期中多くの人で賑わったと伺っています。

同時期に同ビル(中野ブロードウェイ)の書店タコシェのコーナーで「銀河通信」展も開催され、4階のギャラリー・リトルハイと3階のタコシェと行き来して、それそれの小林健二の世界を楽しめました。

「Crystal Specimen-結晶標本」小林健二 

2019,4/26(金)~5/7(火)12:00-19:00(最終日17:00まで)会期中無休

*4/27(土)夕刻より作家在廊

リトルハイ 164-0001中野区中野5-52-15 中野ブロードウエイ4F

tel:070-4447-5640・info@little-high.com

小林健二が自ら一つ一つ時間をかけて育成した美しい結晶作品の数々と新作の土星作品を展示予定。

「小林健二氏は子供の頃より上野の国立科学博物館に通い、鉱物標本室に心を奪われる少年時代を過ごしてきました。そんな科学少年だった彼が結晶の世界に魅せられてから50年近い年月が経ち、様々な物質の結晶を育成することに興じることになります。

科学が魔法の様に思われていた昔から変わらず存在する鉱物の魅力、それを体感する一人であった小林健二です。地中の深い場所で気の遠くなるような時間をかけて秘密裏に鉱物結晶の生成は行われますが、表現者としての彼の好奇心によって自らそのプロセスを体験するがごとく結晶作品が生まれてゆきます。

これまでファインアートの世界での作品発表が多かった小林ですが、今回は別の面である彼の探究心から生まれた結晶作品に焦点を当てた特別な展覧会となります。

(リトルハイ・ウェッブより)」

結晶育成中
小林健二育成の結晶
小林健二育成の結晶
小林健二育成の結晶
小林健二育成の不思議結晶

詳しい情報

顔料になる鉱物の色々

この記事は岩手のミュージアムで開催された「鉱物から絵の具を作る」小林健二ワークショップをもとに編集しており、画像は新たに付加しています。

とても人気があった企画であっという間に定員に達し、地元のみならず他府県からも多数参加されたようです。「鉱物」というと、何か植物や動物とは違った、動かない、生命を感じないと思いがちで、何か日常とは無関係に思われるような気もします。しかしながら、この地球で長い時間をかけて生成され、そして今私たちの前に姿を現わしている鉱物たちは、宝飾品としてだけではなく、実にいろいろな形をとって生活のなかで生きずいているのです。その一つに、絵の具があげられるでしょう。

石と賢治のミュージアム(岩手)で開催された小林健二ワークショップのチラシです。

この時に実際に使用された鉱物は「マラカイト」と「プルプライト」です。

顔料になる鉱物に関しては下記の別記事を参考にしてください。

マラカイト(Marachite) 岩緑青(いわろくしょう)・主成分:含水酸基炭酸銅・マウンテングリーンとも呼ばれます。緑色の鉱物でその断面まるで孔雀の羽のような縞模様があることから孔雀石と一般的に呼ばれます。かつてクレオパトラがアイシャドウに使ったということで有名な緑色顔料です。マラカイトは彫刻をほどこしたり箱などの工芸品として加工されたりするのでその削った粉やかけらから顔料にしやすい鉱物です。・標本産地:Kolweiz,Shaba,Zaire
プルプライト(Purpurite) 紫石(むらさき石) 写真で見るとまさに名が示す通りのむらさき色ですが、粉体にすると、マルス・ヴィオレットのような色です。セラミックやダイヤモンド砥石で削ると顔料にすることができます。タマゴ・テンペラなどで使えるかもしれません。標本産地:Noumas pegmatite,nearcapeteun,Republic of South Africa

上の画像のような鉱物標本は美しいので顔料にしてしまうのは正直惜しいです。ですのでヤスリ掛けがしやす程度の大きさがある小ぶりな標本で、そして混じり合う他の鉱物が少なく、色彩が象徴的なものを選んぶといいかもしれません。

マラカイトをヤスリで削って顔料を作っているところ

小林健二自作の火山の形をした不思議な実験道具。

噴火口にオレンジの粉末を入れて点火すると緑色の粉体が吹き出してきました。この緑の粉末も顔料になるのです。

用意された材料はヤスリや顔料のローアンバー、テールベルト、ウルトラマリン、そして練るための溶剤となる溶液と親水性を増すための溶液、練り台と、盛り沢山。多めに用意された溶液で、持ち帰った後も工夫により新たな「自分なりの絵の具」が生まれているかも知れません。

顔料ウルトラマリンを溶剤と混ぜているところ。

この時に作った絵の具は「アブソルバンキャンバス(吸収性の支持体)」にも描くことができます。これもワークショップの記事を下記しますので参考にしてみてください。

モレットと呼ばれる絵の具を練るための道具。それぞれに小林健二自作の素敵なケースが仕立てられている。
モレットを使ってこの大理石の板の上で顔料を練って絵の具を作る。これらもまた、専用の小林健二自作のケース付き。20代の頃に作ったもので使い込まれて年季が感じられる。
硬度が低めの鉱物は、このような鉄鉢(てっぱち)で砕いて粉状にすりつぶして顔料にすることもできる。


顔料と絵の具を練る媒材を作るための樹脂などが入った瓶の棚。貴重なものもある。
ラピスラズリの顔料
絵の具を練る練り板は大理石ばかりではない。小林健二愛用のこのパレット?の上で溶剤と顔料が混ぜられ練られてキャンバスに描かれることも多い。木製だがこれもまた使い込まれていい味が出ている。

文+編集:Ipsylon

STELLA IN THE ROOM

夜はぼくたちにいつも語りかけている

気圏の層に窓が開いて

遥かな宇宙の記憶の断片が 静かな雪のように降ってくるんだ

それは見ようとしたり 聴こうとしたりしなければ

なかなか感じることのない 小さな小さな声なんだ

でも

何かを探して夜空を見上げると

ひとりぼっちには

惜しみなくいくらでも 夢を降らしてくれるんだ

いろいろな色の様々な姿をしたキャンディーのような 素敵な味覚のお噺で

その心がいつの間にか温かく すっかり安心できるまで・・・

一度も会ったこともなかった 顔も知らない同士でも

知らない星の思い出が いっしょに懐かしくなったりするのは

きっとそんなわけなんだ

・・・・・・

ぼくは静かに外に出て、見上げる銀河に思ってみる。

かつてある巨きな人が深い眠りに入って星になった時、

それは一体どんな日だろうと・・・

そして今、その星のみる夢は、この上なく素敵なものであってほしいと。

その青く光る星の住人の一人として、故郷地球を思って見た。

小林健二

*文:[星のいる室内STELLA IN THE ROOM]より

[妖精の家]小林健二作品
通電すると室内から階段を昇ったり降りたりする音や、口笛やハミングが小さく聞こえ、またあたりが暗くなると点灯したり消灯したりする。

[妖精の家]部分
小林健二

 

 

ーサイラヂヲを製作するにあたってー

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ある日の小林健二のアトリエ(1993年頃)

ボディーフェイスローラー5点セット

ある日の小林健二のアトリエ(1993年頃)*まるで町工場の様な雰囲気

ある日の小林健二のアトリエ(1993年頃)*窓際におかれた絵画材料など

 

 

ある日の健二のアトリエ(1993年頃)*棚の樹脂や顔料、溶剤など

 

小林健二へのインタビュー

ムーンライトプロジェクト(以下M):小林さんは今回の展覧会で各ギャラリー共通の展示作品を製作されていますが、このようなことは今までありませんでしたよね。

小林健二(以下K):ええ、ありませんでした。その理由としてぼくがマルチプルな作品をあまり作らなかったということと、このラヂヲのようなものは作る難易度が高いということがあります。

M:でも、サイラヂヲ等をこれまでに製作してこられていますね。

小林健二作品「サイラヂヲ」
1985-6年にかけて製作された作品。頭部の透明部分がラジオ放送を受信すると、その音声に同調して明滅し、七色に色彩を変化させるもの。

K:同じものを複数作るというと一見楽なように思われるかも知れませんが、ぼくの性格をさておいても、外注などできるものならともかく、要素が多すぎてそれは不可能。だからと言って全部自分で作るとなると、その作業量というのは、二つ作れば二倍になり三つ作れば三倍になる、ということは往々にしてあリます。そして今回のように中の回路まで旧式なものを作ろうとすると、それなりの苦労があるわけです。

M:それはどのようなことでしょうか?

K:まずパーツが手に入らないものがある。例えば普通に回路を組み立てる上においても、ラヂヲのチューニングに使うところのパーツである「バリコン」一つとってもみてもそうだし、あるいはコイルひとつにしても入手できないものがある。まして、実際には売っていない部分、例えばラッパの部分とかツマミであるとかは、作らなければならなかった。このラヂヲに関しては、ただでさえ大きいものにはしたくなかったし、それでもなおかつ机の上に乗る大きさのラヂヲの中に、現実感のない空虚な空間を作ろうと思えば、部分的には非常に難易度が高くなってしまう。それなら小さくて効率のいい部品を使えばいいが、そうすると音がクリアに聞こえすぎて、旧いラヂヲの感じが出ないといった理由から、どうしても旧式の回路を使いたい。

ということでますます困難な作業となる。しかもそれらのパーツは入手が困難になっていて、特殊な短波器も同調コイルも、ものによれば作らざるおえなかった。

この様な部品は現在生産は中止されている。エレクトロニクスの世界の躍進は目覚ましいが、その影では過去の中に流されて姿を消し、廃棄されてゆくものたちも多い。もしその様なものを使用してラヂヲを製作しようとすると、マニアックなパーツの入手ルートも必要になってくる。
*小林健二作品の素材

もちろんこの様な部品は正規には現存しない。イメージに中心をおくために、必要とすれば全てパーツにいたるまで自作しなければならない。内に秘めたイメージを物質化する中で、いろいろな葛藤も起こることは想像に値する。
*小林健二作品の素材

この様な部品を作ることは、単にマニアックな思いつきや技術的な精度だけではおそらく具現化することは難しいだろう。何より、夢の様に思えるほどの果てに浮かぶイメージの世界を、こちら側の国に引き寄せたいとの強い想いが必要になるだろう。
*小林健二作品の素材

M:つまりラヂヲの外見のみではなく、中のメカニズムな部分まで全て小林さんが手作りをされているということですね。今までアンティークのパーツなどを利用されているのかと思ってました。

K:このようなものを仮に一点だけ作るのだったらそれも可能かも知れませんが、複数で作るとなるとまず不可能でしょう。今回は思ったより古い回路などが市場から姿を消してしまっていることにぼく自身驚きました。その結果、手作業の部分が膨大に増えてしまったわけ。

小林健二作品「サイラヂヲ「透質結晶受信機」部分

小林健二作品「サイラヂヲ:透質結晶受信機」
透明結晶が青く光りながら回転し、同時にラジオも受信する。

小林健二作品「サイラヂヲ:遠方放送受信機」
スピーカーからラジオ放送が聞こえ、不思議なオブジェが青く光りながら回転する

小林健二作品「サイラヂヲ」
ラジオの受信状態によって頭部の透明部が色を変化させながら明滅する。

ーインタビューを終えてー

絵画のように、イメージを比較的ダイレクトに形にするものと比べれば、この「サイラヂヲ」のような精度の高い、しかも不自然に見えないものを作ろうとすれば、その難易度たるや尋常のものではないだろう。電気的な知識や技術を製作者が持ち合わせていなければ、形にできない。つまりイメージを物質化することができないのは当然なことであり、それを持ち合わせた小林の存在は驚きに値する。

しかし、このような困難を乗り越えても作者が物質化したいと思い、また、作り出そうとした作品世界を垣間見るのも一興ではないだろうか。

はるかなイメージの世界より、作者がこの「サイラヂヲ」に続く一連の作品をその希有な能力で現実世界のものとして三次元かしてくれたとき、そこには、実際にサイキッシュな空間が出現しいるのかも知れない。この形骸化されたものを媒体として、作品に相対した瞬間、観るものたちの心に、同じ世界が現実のものとして拡がることもあるだろう。アート作品とは、形象の向こうにつながる世界を観ようとそこに近づき、何かを知ろうとする人たちの心の窓を開き、人々の心に眠る感性の可能性を喚起させるものではないだろうか。

文+インタビュー:ムーンライト・プロジェクト

(図録[Catena Aureus]より、編集抜粋しており、画像は図録掲載以外のものも使用しております)

ぴた!でふぉめ鬼滅の刃 アクリルキーホルダー 2点

小林健二展覧会図録1993年[Catena Aureus]のページ

小林健二展覧会図録「美術と博物展」福井県立美術館発行
*その後サイラジオのシリーズはこの展覧会でも展示されています。

KENJI KOBAYASHI