展覧会報告

special-exhibition
Shojyo Manga! Girl Power!
期日 2008.7.19 SAT - 2008.8.31 SUN
開催日数 44日
参加者数 14,903名
会場 京都国際マンガミュージアム 2階 メインギャラリー
主催 京都国際マンガミュージアム/読売新聞大阪本社/美術館連絡協議会

協賛:ライオン/清水建設/大日本印刷
担当研究員:表智之、倉持佳代子

展覧会要旨

現在、日本のマンガは、国内外問わず人気を博しているが、近年では、特に「少女マンガ」が注目を集めている。そもそも海外において、“少女向けのマンガ”というジャンルそのものが、あまり発展していなかった事情も大きいが、新鮮だったという理由だけでなく、日本の少女マンガが持つバリエーションの豊かさや、人間の内面を掘り下げた独特の表現力が、社会や時代のギャップをも超えて、人々を惹きつけるからだろう。

本展は、そうした日本の少女マンガの魅力を伝えるべく、北米9ヶ所を巡回した「Shojo Manga! Girl Power!」展を日本展用にリニューアルしたものである。日本の少女マンガの成立と発展に大きな役割を果たしたマンガ家23人の原画および複製原画が展示されたが、日本版では、それらに加え、作家の愛用品や作画工程の映像など、新たな出展資料を多数追加。日本4ヶ所(川崎市市民ミュージアム→新潟市新津美術館→京都国際マンガミュージアム→横山隆一記念まんが館)を巡回した。

少女マンガの黎明期から現在までを見通す本展では、少女マンガに身近な日本の来館者も、新たな知見を得るものになったはずだ。

(文責:倉持佳代子 2011.11.4)

展示構成

1.少女マンガジャンルの成立と確立(1950~60年代)
 手塚治虫、わたなべまさこ、松本零士、石ノ森章太郎、ちばてつや、水野英子、牧美也子
2.少女マンガの革新(1970年代)
 里中満智子、一条ゆかり、池田理代子、美内すずえ、竹宮惠子、山岸凉子、萩尾望都
3.少女マンガのさらなる発展(1980年代以降)
 里中満智子、一条ゆかり、池田理代子、美内すずえ、竹宮惠子、山岸凉子、萩尾望都、陸奥A子
 くらもちふさこ、岩館真理子、佐藤史生、吉田秋生、岡野玲子、CLAMP、今市子、よしながふみ
4.コーナー展示
 アメリカでの反響を追う/マンガの原画と複製について考える/少女マンガ読書コーナー

 

主な展示品

・出展作家:23名
・原画:67点
・原画´(ダッシュ) : 38点
・複製原画: 159点
・作家の愛用品: 14点
・水野英子・作画工程の映像
・作品掲載雑誌など出版資料: 22点
・キャラクターグッズなど関連資料: 14点
・北米での反響の紹介:現地の新聞記事や展示風景画像など
・少女マンガ読書コーナー: 約600冊以上

展覧会風景

関連展示・資料など

                           

■関連イベント

・期間中の毎週土曜日、当館の研究員によるギャラリートークを実施

「開催記念特別対談 牧美也子氏×竹宮惠子氏」 
2008年7月27日(日)
少女マンガ黎明期を支え、後には大人の女性向けのジャンル「レディスコミック」を切り開いた牧美也子氏と、「花の24年組」として少女マンガの変革期をリードしてきた竹宮惠子氏による対談を開催。

・「開催記念講演① 小野耕世氏
2008年8月5日(火)
海外のマンガ/アニメーションについての長年の研究成果を元に、北米の少女向けコミックに日本の少女マンガが与えた影響について講演を開催。

「開催記念講演② 徳雅美氏」 
2008年8月10日(日)
「Shojo Manga! Girl Power!」展を企画・主催し、北米9ヶ所を巡回して、少女マンガの魅力を伝えてきた経験をふまえ、美術教育学の立場から日本の少女マンガの魅力を解き明す講演を開催。

・開催特別企画 トークイベント「丸山昭さんに聞く・『龍神沼』と黎明期の少女マンガ」
2008年8月29日(金)
共催:朝日新聞出版
1950年代の少女マンガ黎明期に編集者として活躍し、石ノ森章太郎氏・ちばてつや氏・水野英子氏など人気作家を多数育てた丸山昭氏。本イベントは、元『JUNE』編集長で、京都精華大学マンガ学部准教授でもある佐川俊彦氏を進行役に、石ノ森章太郎氏の「龍神沼」(講談社『少女クラブ』1961年夏休み増刊号)にスポットを当てて、石ノ森氏の実験的な作風が果たした役割などについて、丸山氏より当時の思い出などを交えつつ話を聞いた。              

                                        
■解説スタッフ「えむえむコンダクター」

本展では、期間中、展示会場にて、展示の見所や、少女マンガの歴史、魅力を解説するスタッフ「えむえむコンダクター(略称:えむコン)」6名を配置。えむコンは、一般募集されたものであるが、えむコンになるためには、研究員による研修プログラム全3回(①マンガ展覧会の特徴と意義について ②少女マンガ史の時代区分について ③最終試験)を受講することを条件にした。

展覧会は、一方的に情報を提供するものであるが、えむコンを配置することで、観覧者と双方向にコミュニケーションをとることが可能となり、観覧者から得た貴重な情報も多く、少女マンガの理解をより深める試みとなった。

 

■連動企画

InSEA(国際美術教育学会)世界大会連動コーナー

「北米の子どもたちの平和アート」展 
2008年7月19日~8月10日
本展の元となった北米巡回展が基礎に置く「美術教育研究」の好例として、北米の子どもたちによる「私」や「平和」をテーマとした絵画展を開催。(展示構成:徳雅美) 

【資料など】

■関連記事

表智之<思い出話に花を 解説員配置>『産経新聞京都滋賀版』2008年7月31日(木)
倉持佳代子<少女時代に帰ってみよう>『産経新聞京都滋賀版』2008年8月7日(木)
佐川俊彦<編集者はどれほど重要か>『産経新聞京都滋賀版』2008年8月14日(木)

 

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