「アンパンマン」の作者としてあまりにも有名なやなせたかし。しかし、もともとは大人向けのマンガ家として出発し、「アンパンマン」以外にもユーモラスな作品を数多く残している作家だ。

本展は、「やなせたかしの再発見」をコンセプトに、マンガ家、詩人、脚本家、編集者、キャラクターデザイナーなど、91歳（2010年当時）になった今も、様々な分野で活躍するやなせの広範な仕事ぶりを紹介した。やなせたかしの全貌にせまる試みであった。そうした試みでは、先行展示として、2009年に弥生美術館（東京都文京区）の「メルヘンの王様　やなせたかし」展があったが、当館では、そちらをベースにさせてもらい、京都国際マンガミュージアムならではの要素を大いに加えた。特に、「マンガ家としてのやなせたかし」については、香美市立やなせたかし記念館の協力により、大いに言及することができた。また、やなせたかしの人生を追っていく時系列の形で展示を構成し、空間も、子どもから大人まで楽しめる作りを心がけた。知られざるやなせたかしの魅力を多くの人に発見してもらう機会となったはずである。

（文責：倉持佳代子2012.4.17）

やなせたかしの原画作品、貴重な関連資料など、およそ300点の資料を展示。

1.やなせたかしの原点～誕生から三越入社まで～

2.多彩な仕事と悩む日々～ビールの王様・てのひらを太陽に～

3.やなせスタイルの確立～漫画賞受賞・絵本の仕事～

4.アンパンマンで大ブレイク！

5.生涯現役 ～ライフワークと現在～

・マンガ家/イラストレーターによるトリビュート作品

「やなせたかしの再発見」というテーマに沿い、マンガ家、イラストレーターなど各界の著名人より、やなせの特定の作品や活動に対する、トリビュート作品（描き下ろしイラスト、または書き下ろしコメント）の寄稿を依頼。会場内では、やなせ作品の合間に、散りばめられて展示された。

トリビュート作品一覧

■関連イベント

・連続研究講座「とことん！やなせたかし！」

会期中、月一回様々な分野の研究者より、あらゆる見地からやなせたかしを研究する講座を開催。

第一回：2010年10月9日（土）「やなせたかしの抒情画・叙情詩」
中村圭子（弥生美術館　学芸員）

第二回：2010年11月7日（日）「マンガ家としてのやなせたかし」
増田のぞみ （花園大学文学部創造表現学科 講師）
吉村和真 （京都精華大学マンガ学部 准教授）
伊藤 遊 （京都国際マンガミュージアム 研究員）

第三回：2010年12月11日（土）「絵本作家としてのやなせたかし」
田所菜穂子（香美市立やなせたかし記念館　学芸員）

・親子で遊ぼう！こどもプレイルーム＆やなせたかし絵本コーナー

「アンパンマン」のメディアミックスの現状を、「こどもプレイルーム」という形でギャラリー４に設置。

実際に子どもたちがアンパンマンのグッズを手にする姿を見せることで、その人気ぶりや広がりを実感してもらう。1Fこども図書館では、やなせ氏関連の絵本コーナーを設置。「やなせたかしメルヘン劇場」など、やなせたかし関連のアニメ上映も開催。

・えむえむ紙芝居　アンパンマン口演
当館の常設イベントであるヤッサン一座による紙芝居口演で、「アンパンマン」紙芝居を口演。

・アンパンマンクリスマスコンサート2010　―やなせたかしとアンパンマンの仲間たち―
やなせたかし本人らによる「アンパンマンクリスマスコンサート」を開催。

・当館研究員によるギャラリートーク　2010年10月2日（土）、11月7日（日）

■ワークショップ

「ワークショップ　パンに絵を描いて食べよう！！」
2010年10月2日（土）～12月26 日（日） 期間中の土・日曜、祝日のみ開催。

　詳細は、http://www.kyotomm.jp/workshop/yanase_ws_2010.php

　開催報告は、http://imrc.jp/workshop/regular/2010/12/post-17.html

■告知ページはこちら　

ぜんぶ！やなせたかし！展