展覧会報告

special-exhibition
期日 2012.3.3 MON-5.6 SUN
開催日数 57日
会場 京都国際マンガミュージアム 2階 ギャラリー6
主催 京都国際マンガミュージアム

◆ 後援:在日フランス大使館
◆ 協力:Mind Creators/カフェサレ(CFSL)
◆ 担当研究員:伊藤遊

展覧会要旨

2011年3月11日に発生した大地震とそれによって引き起こされた原発事故は、国内だけでなく、海外にも大きな衝撃を与えた。震災直後、フランスのコミックス原作者ジャン=ダヴィッド・モルヴァン氏の提案により、世界中のコミックス作家からチャリティーイラストを集める「Tsunami(ツナミ)」プロジェクトが発足、わずか3週間で約2,700の作品が寄せられる。その中から250点が選ばれ、カフェサレからイラスト集『マグニチュード9』として刊行され、話題となった。

本展は、Mind Creatorsによる『マグニチュード9』の日本語版『マグニチュード・ゼロ』(朝日新聞出版、2012年)刊行プロジェクトと並行して企画された。展覧会には、『マグニチュード・ゼロ』に収録された、『マグニチュード9』から選ばれた65点と、今回描き下ろされるなどした50点のイラスト計115点以上の作品を、キャンバス地に模した特殊な紙に印刷し、展示した。

『マグニチュード9』の作品と1年後に集められた作品の印象は、全く異なっている。前者は、震災直後、外国人による作品がほとんどであったため、破壊のイメージが直接的に描かれたり、日の丸や桜といった日本のステレオタイプのイメージが採用されたりしていた。一方後者は、震災から1年後、日本に住む作家が描いたものがほとんどであったためか、3・11を想起させるような直接的表現はなりを潜め、それぞれ異なる思いの“着地点”において描かれているのが印象的であった。そうした両者の違いを際立たせるため、前者は、壁紙を破り、地のベニヤ板をむき出しにした壁に、後者は、白くきれいな壁に展示した。

展覧会会場に設置した募金箱には、会期中423,590円が寄せられ、これらは、東日本大震災復興のために全額寄付された。

(文責:伊藤遊2012.5.9)

展覧会風景

関連展示・資料など

◆     関連イベント・資料

イベント
対談「しりあがり寿×ジャン=ダヴィッド・モルヴァン――マンガがこの世界にできること」
日時:2012年3月3日(土)14:00~16:00
会場:京都国際マンガミュージアム 1階 多目的映像ホール

出演者:
しりあがり寿(マンガ家)
ジャン=ダヴィッド・モルヴァン(コミックス原作者、「マグニチュード9」プロジェクト発起人)[フランス]

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