講演会・研究会報告

Manga and intercultural communication
開催日時 2007.1.7 SUN 13:00-15:00
会場 京都国際マンガミュージアム 1階 多目的映像ホール
出演者 ちばてつや[マンガ家]/呉智英[評論家・京都国際マンガミュージアム研究顧問]/吉村和真[京都精華大学マンガ学部准教授]
主催 京都国際マンガミュージアム

企画担当:表智之

講演会・研究会要旨

マンガ家をゲストに招いた連続講演会シリーズ「ミュージアム発・マンガの未来へ」の第1回目として、「国際MANGAサミット」の実行委員長であるちばてつや氏を招聘し、呉智英氏によるインタビュー形式で進められた。

ちば氏は、マンガ先進国といわれる日本のマンガ家として、アジアの他国に「表現の自由」をアピールしていくことの重要性を訴える一方、日本ではこのような活動が公的な資金援助を受けることが難しい現状も紹介し、国策としてマンガを補助する韓国の状況にも触れながら、2008年の国際MANGAサミット京都大会への期待を語った。ちば氏自身の戦中戦後の満州体験にも触れながら、呉氏は、国際交流とはネガティブさを含めたコミュニケーションであり、マンガのなかの低俗な欲望を見据えて描くことができなければ、ポジティブな形でのマンガで国際交流はできないとまとめた。サミット実行委員長のちば氏を迎え、マンガという共通言語を用いて、表面的な意味の「国際理解」にとどまらない新たな交流を深めていくことの重要性と意義が確認された。

また、ちば氏の中では「異色」と言われる作品「餓鬼」にあえてフォーカスを当て、同氏の作風の幅広さと本質に迫ろうと試みた点も特筆に値するだろう。

(文責:猪俣紀子)

講演会・研究会風景

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