マンガ雑誌の売り上げが下降傾向にある中、新しいメディアとして、急成長をしつつある電子コミックに関心が集まっている。電子書籍市場の草分けである「株式会社イーブック イニシアティブ ジャパン」の創業者・鈴木雄介氏を講師に迎え、産業としてのマンガという視点で新しいマンガ研究の分野を切り開いた中野晴行氏と共に、電子コミックの可能性について考えた。
「イーブック」では、常に全巻そろえておくことができる、閉店時間がないなど、電子店舗ならではの特徴を強調することで、既存のマンガファンのみならず、新しい読者にも作品を届けることに成功している。さらに、オリジナル作品の制作、発信も行っているが、（ページ数など）紙媒体の制限を排除した形で制作依頼ができることや、新人作家を積極的に採用し自由に描いてもらうなど、結果的にマンガ表現を広げる可能性のある事業も行っている。既存書店との連携の在り方など、電子書籍ビジネスの最先端で10年走ってきた講師ならではの具体的な提案は、今後のマンガ出版、マンガビジネスを考えていく上で参考になることだろう。