開催日時 | 2011.4.20 WED |
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会場 | アートエリアB1(大阪) |
出演者 | えすとえむ[マンガ家]/ジェシカ・杉本・バウエンス[BL研究者]/倉持佳代子 |
参加者数 | 100名 |
主催 | 主催:アートエリアB1(大阪大学/NPO法人ダンスボックス/京阪電気鉄道会社) |
共催:京都精華大学国際マンガ研究センター/大阪大学21世紀懐徳堂 企画担当/カフェマスター:伊藤遊/金水敏[大阪大学コミュニケーション・デザイン・センター]
女性向け「オタク」カルチャーとして、マンガ研究の対象としても近年急速に注目を集めつつあるBL(ボーイズ・ラブ)。そうした状況を反映してか、「マンガカフェ」シリーズの中でも最も多くの参加者を集めた回のひとつとなった。
まずは、バウエンス氏が、BL(少年愛、やおい)の歴史およびそのグローバルな拡がりについての概説と、そうした状況の社会学的分析を行った。続いて、えすとえむ氏の創作活動や姿勢について、特にBLとの関わり方を通して、カフェマスターやフロアからの質問に答える形で語ってもらった。そうしたやりとりの中で、BLとポルノグラフィの関係や、商業BL/同人誌BLとの違い、登場人物への共感(心情的・身体的シンクロ)/傍観(「キャラ萌え」)といったマンガ読書における態度など、このジャンルは様々な問題系をはらんでいるが明らかとなった。
参加者も積極的に意見を述べ、多くの人にとっては内容的にも満足のいく内容だったようだが、一方で、多様な拡がりを見せている「BL」を一くくりにして語るのは無理があることや、個人の体験と分かちがたい形で発展してきたBLのようなサブカルチャーを客観的に語ること、その語りを共有することの困難さも痛感した会となった。
(文責:伊藤遊)
◆ 本イベントで取り上げられたマンガ資料(えすとえむ作品以外)
・ 室山まゆみ『あさりちゃん』第42巻(小学館てんとう虫コミックス):小学生のあさりが「やおいマンガ」を読んでいるという話所収(「やおいマンガでキャー」)
・ 『COMIC JUN』創刊号(サン出版、1978年)
・ 『June』1986年11月号(サン出版、1986年)
・ 『波津彬子画集 万華鏡』(小学館、2010年)
・ えすとえむ作品の二次創作同人誌
など