開催日時 | 2012.3.11 SUN |
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会場 | 京都国際マンガミュージアム 多目的映像ホール/エントランスホール |
出演者 | 倉田よしみ[マンガ家]/土山しげる[マンガ家]/ビッグ錠[マンガ家]/伊藤遊[IMRC研究員・司会] |
参加者数 | 第1部(トークショー)40名/第2部(サイン会)100名 |
主催 | 京都国際マンガミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター |
企画担当/伊藤遊
本イベントは、東日本大震災被災者へのチャリティーイベントとして、料理マンガ「味いちもんめ」作者である倉田よしみ氏の提案で実現した。衣食住など日常生活における「当たり前」の大切さが見直されている震災以降、改めて注目を集めている<食マンガ>をテーマに、同ジャンルの第一人者である3氏をゲストにしたトークショーおよびサイン会を実施した。
トークショーでは、<食マンガ>の嚆矢とも言える「包丁人味平」のビッグ錠氏によって、<食マンガ>が、「腹で食べるマンガ」から「舌で食べるマンガ」、そして「頭(知識)で食べるマンガ」へ変遷していったという<食マンガ>史が、時代背景とからめて語られた。また、「極道めし」などで知られる土山しげる氏が、<食マンガ>を描く時は、料理そのものをおいしそうに描くことよりも、自分がおいしく食べたという感覚をマンガの登場人物たちにいかにトレースさせるか、といったことに努力を傾けているという話も、作者と作者の描くマンガのキャラクターの身体の連動性について考えさせる興味深いエピソードであった。また、倉田氏は、調理された料理をリアルに描くことよりも、ひとつひとつの食材の表現に気を遣っていると述べた。
サイン会では、参加者の注文に応じてキャラクターも描くという、通常よりも時間をかけたやり方を採ったため、図らずも、欧米などのコミックス・フェスティバルでしばしばみられるような参加者と作家との濃密な交流会が実現し、参加者の満足度は高かったように思う。
同イベントで集まった義援金71,356円は、東日本大震災復興のために全額寄付された。
(文責:伊藤遊2012.4.4)
◆東日本大震災を受けて、倉田よしみ(あべ善太原作、福田幸江シナリオ協力)「味いちもんめ 独立編」で描かれたエピソードより
柳原「現地で、ボクが作ったヘタなカレーを喜んで食べてくれる人の顔を見て、人間は食べることで命が繋がっているんだ…/食事って大切なんだってことを、ボクは改めて痛感したんですよ。」
伊橋「今は具体的なことは思いつかないけど、料理を通してできることって何かあると思います。」
(『味いちもんめ 独立編』第7巻、小学館(ビッグコミックスペリオール)、2011年、p.p.174-175)
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