講演会・研究会報告

Manga Worlds : Subculture, Japan, Japanology
開催日時 2012.6.1 FRI- 6.3 SUN
会場 2012年6月1日(金)・2日(土)神戸大学瀧川記念学術会館/2012年6月3日(日)京都国際マンガミュージアム 多目的映像ホール

4th International Scholarly Conference “Manga Worlds: Subculture, Japan, Japanology” June 1-3, 2012 Kobe University & Kyoto International Manga Museum Organization: Kobe University & Kyoto Seika University IMRC ◆主催:日本サブカルチャー研究会(神戸大学)/IMRC/京都国際マンガミュージアム◆企画担当/ジャクリーヌ・ベルント

講演会・研究会要旨

 

第4回国際学術会議「〈マンガ・ワールズ〉―サブカルチャー、日本、ジャパノロジー」は日本学や美学、社会学といった伝統的な学問領域から視覚文化研究、マンガ/コミックス研究、サブカルチャー論のような学際的な新領域までに渡る、多様なアプローチが学術的議論という共通のプラットフォームの上で出会う場として企画された。アジア・欧米・南米など世界各地から22人の報告者が神戸と京都に集い、3日に渡って白熱した議論が展開された。

(文責:雑賀 忠宏 2014.05.11

第4回国際学術会議「〈マンガ・ワールズ〉―サブカルチャー、日本、ジャパノロジー」は日本学や美学、社会学といった伝統的な学問領域から視覚文化研究、マンガ/コミックス研究、サブカルチャー論のような学際的な新領域までに渡る、多様なアプローチが学術的議論という共通のプラットフォームの上で出会う場として企画された。アジア・欧米・南米など世界各地から22人の報告者が神戸と京都に集い、3日に渡って白熱した議論が展開された。本会議は、タイトルとして掲げられた複数形の"Manga Worlds"が示すように、日本学や美学、社会学、人類学といった長い伝統を持つ学問領域から、視覚文化研究やマンガ/コミックス研究、サブカルチャー論のような学際的で新しい研究分野までにいたる、異質な言説や理論、アプローチが描き出す様々なマンガ・アニメ文化研究の現在が出会い、学術的議論という共通基盤の上で交錯しあう場となることを企図したものである。こんにち、マンガ・アニメのグローバル化現象へと関心が集まるなかで、日本学をはじめとしたこの現象へと取り組む学術的研究への期待もまた高まりつつある。そして、この現象を「日本」を起源とする均質的な「サブカルチャー」の拡大――世界から欲望される日本――として描き出そうとする傾向もまた、こうした期待のうちにしばしば見出される。しかしながら、現実に進みつつあるのはむしろ「グローカル化」という言葉がふさわしいような、マンガ・アニメをはじめとするポピュラー文化の世界における複数化・多層化ではないだろうか。そこでは、一元的なマンガ・アニメの「日本」性や「サブカルチャー」性、これまでの日本研究との連続性など、しばしば自明視されがちな前提もまた問い直される必要がある。そのために、神戸大学で開催される1日目・2日目においては、必ずしもマンガという表現媒体に限らないにもかかわらず「マンガ」の名において進められる研究の枠組みを、学際的な視点から公共性や批評性を含めて理論的に問い直す試みにはじまる。その際、大規模な実態調査をふまえたマンガをはじめとするサブカルチャー受容やコンテンツ・ツーリズムの具体的事例をめぐる研究まで、世界各地の研究者による報告と討論が英語を中心に行われる。そして3日目は京都国際マンガミュージアムへと会場を移し、「マンガ」と「サブカルチャー」および「日本」あるいは日本学との多面的な絡み合いに焦点を当て、一般参加者に対して開かれた形で考察を深めていく。本会議における複数の"Manga Worlds"の交錯が、これからの「マンガ文化」や「日本文化」の研究をめぐるグローバルな学術的交流のネットワークの礎となることを期待する。第4回国際学術会議「〈マンガ・ワールズ〉―サブカルチャー、日本、ジャパノロジー」
第4回国際学術会議「〈マンガ・ワールズ〉―サブカルチャー、日本、ジャパノロジー」は日本学や美学、社会学といった伝統的な学問領域から視覚文化研究、マンガ/コミックス研究、サブカルチャー論のような学際的な新領域までに渡る、多様なアプローチが学術的議論という共通のプラットフォームの上で出会う場として企画された。アジア・欧米・南米など世界各地から22人の報告者が神戸と京都に集い、3日に渡って白熱した議論が展開された。本会議は、タイトルとして掲げられた複数形の"Manga Worlds"が示すように、日本学や美学、社会学、人類学といった長い伝統を持つ学問領域から、視覚文化研究やマンガ/コミックス研究、サブカルチャー論のような学際的で新しい研究分野までにいたる、異質な言説や理論、アプローチが描き出す様々なマンガ・アニメ文化研究の現在が出会い、学術的議論という共通基盤の上で交錯しあう場となることを企図したものである。こんにち、マンガ・アニメのグローバル化現象へと関心が集まるなかで、日本学をはじめとしたこの現象へと取り組む学術的研究への期待もまた高まりつつある。そして、この現象を「日本」を起源とする均質的な「サブカルチャー」の拡大――世界から欲望される日本――として描き出そうとする傾向もまた、こうした期待のうちにしばしば見出される。しかしながら、現実に進みつつあるのはむしろ「グローカル化」という言葉がふさわしいような、マンガ・アニメをはじめとするポピュラー文化の世界における複数化・多層化ではないだろうか。そこでは、一元的なマンガ・アニメの「日本」性や「サブカルチャー」性、これまでの日本研究との連続性など、しばしば自明視されがちな前提もまた問い直される必要がある。そのために、神戸大学で開催される1日目・2日目においては、必ずしもマンガという表現媒体に限らないにもかかわらず「マンガ」の名において進められる研究の枠組みを、学際的な視点から公共性や批評性を含めて理論的に問い直す試みにはじまる。その際、大規模な実態調査をふまえたマンガをはじめとするサブカルチャー受容やコンテンツ・ツーリズムの具体的事例をめぐる研究まで、世界各地の研究者による報告と討論が英語を中心に行われる。そして3日目は京都国際マンガミュージアムへと会場を移し、「マンガ」と「サブカルチャー」および「日本」あるいは日本学との多面的な絡み合いに焦点を当て、一般参加者に対して開かれた形で考察を深めていく。本会議における複数の"Manga Worlds"の交錯が、これからの「マンガ文化」や「日本文化」の研究をめぐるグローバルな学術的交流のネットワークの礎となることを期待する。第4回国際学術会議「〈マンガ・ワールズ〉―サブカルチャー、日本、ジャパノロジー」
第4回国際学術会議「〈マンガ・ワールズ〉―サブカルチャー、日本、ジャパノロジー」は日本学や美学、社会学といった伝統的な学問領域から視覚文化研究、マンガ/コミックス研究、サブカルチャー論のような学際的な新領域までに渡る、多様なアプローチが学術的議論という共通のプラットフォームの上で出会う場として企画された。アジア・欧米・南米など世界各地から22人の報告者が神戸と京都に集い、3日に渡って白熱した議論が展開さ

講演会・研究会風景

関連展示・資料など

『日本マンガと「日本」――海外の諸コミックス文化を下敷きに』
(国際マンガ研究 vol. 4、ジャクリーヌ・ベルント編)オンライン修正版(2014年4月10日改訂)

※以下の各論文はPDFとしてダウンロードが可能です。

序文  ジャクリーヌ・ベルント

 

第1部 台湾

1 台湾の漫画審査制度と日本漫画のアンダーグラウンド化展開 李衣雲

2 台湾漫画家AKRUとの出会い――日本的に見える表現についての一考察 池田美香

3 台湾の男性同性愛者によるBL漫画の批判的受容 周典芳

 

第2部 東南アジア

4 コミックを「政治化」する「影響」論と「様式」論――インドネシアのコミック言説について
    フェブリアニ・シホンビング/石川優 訳

5 タイコミックスの歴史――多様なマンガ文化間で形成された表現 トジラカーン・マシマ
※ 修正版に差し替えました(2014.05.20)

6   ベトナムの漫画文化――その過去と現在の概説 グエン・ホン・フック

7   ベトナムの若者文化――漫画を中心に ファム・ホアン・フン

8 フィリピン・コミックスの“死”について
    カール・イエアン・ウイ・チェン・チュア、
クリスティン・ミシェル・サントス/西原麻里 訳

9 かわいらしさとおぞましさ、そして憂鬱のラプソディ――シンガポールマンガ家FSc 
    大城房美

 

第3部 西欧

10 フランスとイタリアにおける「日本」と「マンガ」のイメージ――マンガ読者/非読者の第1次主要結果報告
       マルコ・ペリテッリ/小林翔 訳

11 フランスにおけるマンガ研究 猪俣紀子

12 フランスのマンガ市場と腐女子 ジェシカ=バウエンス・杉本

13 「イベロ・マンガ」――スペインでの主流からニッチとしての女性マンガとガフオタクま
       ホゼ=アンドレス・サンティアゴ・イグレズィアス/雑賀忠宏 訳

      ※本論文は英語版原稿もダウンロードできます

 

論集全体のダウンロードはこちら

 

 

 

会議プログラム
6月1日(金)・2日(土) 使用言語:英語
6月3日(日)       使用言語:英語、日本語(逐次通訳あり)

Friday, June 1, 2012 (Kobe University)

NAKAMURA Chiharu (Kobe University, Vice-President)
Greetings
YUI Kiyomitsu (Kobe University; Head of the "Japan Subculture Studies" Project)
Opening address
Jaqueline BERNDT (Kyoto Seika University, imrc)
Preamble on "Manga Worlds"

part I: Workshop about International Survey on Manga and Japan

1. Jean-Marie BOUISSOU (SciencePo, Paris; Head of European Manga Network)
Does Doraemon yield "Soft Power" ? Some Evidence from a Study of European Manga Readers
2. Marco PELLITTERI (The London Metropolitan University)
A Starting Cartography of the Images of Manga in Europe among Manga Readers and non-readers
3. Alvaro Hernandez (Kobe University)
Manga Readers and Japan:Reflecting the Survey on the Consumption of "Manga Contents" in East Asia

02_Line.gifpart II: Studying "Japanese Subculture"

II-1 Theoretical Frames
1  Ian CONDRY (MIT)
The Soul of Anime: Collaborative Creativity and Fieldwork in Japan's Anime Studios
2 KAM Thiam Huat (National University of Singapore)
The Common Sense that Makes the "Otaku": Rules of Consumption in Contemporary Capitalist Japan
3  YUI Kiyomitsu (Kobe University)
Contemporary Theories and their Analytical Potential for the the Study of "Manga Cultures"
Commentator: MIYAKE Toshio (Università Ca"Foscari Venezia)


II-2 Manga as "Subculture" and Beyond
4 Nissim OTMAZGIN (The Hebrew University of Jerusalem)
Manga, a New Medium for Political Debate?
5 SAIKA Tadahiro (Kobe University)
The Quotidian Concept of "Subculture": On the Reflexive Formation of Manga Culture in Japan
Commentator: Wong Heung Wah


Saturday, June 2, 2012 (Kobe University)
II-3 "Manga Cultures" as Visual Culture

6 KURASAWA Fuyuki (York University)
Of Fields, Networks, and Structures: A Conceptual Apparatus for Visual Analysis
7 MAEKAWA Osamu (Kobe University)
Horror and the Vernacular
Commentator: YUI Kiyomitsu

II-4 Contents Tourism
8 Craig NORRIS (University of Tasmania)
Improvising Anime Geographies: Anime Tourism and the Tasmanian Bakery
9 HARA Kazuki (Kobe Shukugawa-gakuin University)
On Subculture Tourism in Japan
Commentator: KAM Thiam Huat, Lee Ming Sung(National University of Taiwan)

II-5 "Manga cultures" Worldwide
10 Karl Ian Uy Chen CHUA (Ateneo de Manila University)
Manga as "Popular" Culture in the Philippines: The Rise and Fall of the "Popular"
11  Luz Olivia Domínguez PRIETO (Escuela Nacional de Antropologia e Historia, Instituto Politecnico Nacional, Mexico)
Love and Eroticism in Otaku Literature: Imaginaries, Visions and Readings of Yaoi amongst Young Mexicans
12 TOYONAGA Mami (JETRO)
The Importance of Being Earnest: Why and How the Manga Market Expanded in France
Commentator: MIHARA Ryotaro

02_Line.gif201263() (京都国際マンガミュージアム)
part III:
マンガ×日本

III-1 「サブカルチャー」と「日本」への欲望
開会挨拶 吉村和真(京都精華大学/IMRCセンター長)

 1 猪俣紀子 (京都国際マンガミュージアム研究員)
フランスにおけるマンガとマンガ研究
2 李衣雲 (国立政治大学台湾市研究所)
台湾のコミックス審査制度と日本マンガのアンダーグラウンド的展開
3 三原龍太郎 (『ハルヒ・in・USA』著者)
「クール・ジャパン」とその不満

III-2 ジャパノロジー×マンガ/サブカルチャー研究
4 三宅俊夫 (ヴェネツィア大学)
「サブカルチャー」としての日本研究
5 金孝眞 (高麗大学校)
日本研究とマンガ研究との複雑な関係:韓国の事例を中心に
6 ファム=ホアン・フン(ハノイ国立大学)
ベトナムにおける日本研究とマンガ文化
7 森川嘉一郎 (明治大学)
オタク文化と「日本」

閉会挨拶: ジャクリーヌ・ベルント (京都精華大学)

 



発表要旨
発表の要旨はこちら
(2012_国際学術会議4.pdf[328k])

 

 

 

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