期日 | 2013.7.13(SAT)~2013.9.23(MON) |
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開催日数 | 69日 |
料金 | 無料(ミュージアム入館料は別途必要) |
参加者数 | およそ10,000名(無料展のため詳細な集計はなし) |
会場 | 京都国際マンガミュージアム 2階 ギャラリー1・2・3 |
主催 | 京都精華大学国際マンガ研究センター/京都国際マンガミュージアム |
◆協力
兵庫県立芸術文化センター 薄井憲二バレエ・コレクション
一般社団法人 有馬龍子バレエ団/京都バレエ専門学校
◆制作
バレエ・マンガ研究会
全体監修:ヤマダトモコ(マンガ研究家)
バレエ監修:芳賀直子(舞踊研究家)
調査・資料協力:小西優里、卯月もよ(図書の家)
調査・執筆:岩下朋世(相模女子大学メディア情報学科講師)
倉持佳代子(京都国際マンガミュージアム研究員)
◆担当研究員
倉持佳代子
少女マンガは、戦後より一気に花開いた文化であるが、そうした中で多く描かれたテーマの一つに「バレエ」がある。また、日本において「バレエ」が他の国と比べて、お稽古ごととして定着するなど、独特な発展を遂げてきた背景には、「少女マンガ」の存在は大きい。
本展は、少女マンガの発展とバレエとの関係、日本において実際のバレエ受容とマンガがいかにリンクしてきたかを、バレエ・マンガを描いた代表的な作家12名を中心に、原画を含む約400点の資料にて紹介する展示である。兵庫県立芸術文化センター薄井憲二バレエ・コレクション所蔵のバレエ資料や、有馬龍子バレエ団・京都バレエ専門学校所蔵のバレエ衣裳や公演映像なども合わせて展示することで、実際のバレエの歴史などについても触れることができた。なお、主にカラー原画については2会期に分けて展示している。(出展目録を参照)
本展に際しては、「バレエ・マンガ研究会」を結成し、その研究にあたったが、その成果が反映された展示である。現在、その内容は、関連書籍として刊行された太田出版刊行の図録『バレエ・マンガ~永遠なる美しさ~』で詳しく読むことができる。
(文責:倉持佳代子2013.11.7)
1、バレエ・マンガの源流(大正時代~昭和初期)
日本にバレエが入ってきたのはいつだったのか。戦前日本のバレエ受容を探るとともに、バレエ・マンガの源流に迫る。兵庫県立芸術文化センター薄井憲二バレエ・コレクションの所蔵品を中心に、18世紀後半頃のロマンティック・バレエ時代の画のリトグラフ、ロシアのバレエダンサーを風刺的に描いたニコライ・レガットのカリカチュアなどとともにバレエそのものの歴史を説明。そうした流れをふまえ、当時の少女雑誌や高畠華宵のバレエ画のパネルなど、抒情画家達への影響を明らかにする。
2、バレエ・マンガの創世期(1950~1970年代)
戦後よりすさまじい勢いで広がったバレエブームは、時期をほぼ同じくして少女マンガにも起こった。当時のバレエブームを、大量の雑誌や貸本などで紹介。また、この時代の代表的な作家として、高橋真琴、牧美也子、北島洋子、上原きみ子の原画、谷ゆきこのパネルを展示した。
出展作品例
高橋真琴「プチ・ラ」、牧美也子「マキの口笛」、北島洋子「ふたりのエリカ」、上原きみ子「まりちゃんシリーズ」、谷ゆきこ「バレエ星」
3、バレエ・マンガの変革期(1970年代)
1971年連載開始の山岸凉子の「アラベスク」は、バレエの芸術性や身体表現に目を向け一石を投じたエポックメイキングな作品であった。山岸のバレエ・マンガを、原画と掲載雑誌にて振り返り、その魅力に迫る。
出展作品例
山岸凉子「アラベスク」「テレプシコーラ/舞姫」「牧神の午後」「ヴィリ」
4、バレエ・マンガの編成期(1970年代~現在)
1970年代以降は、深遠なドラマとしてのバレエ・マンガが次々と誕生。バレエ・マンガの進展を、有吉京子、萩尾望都、槇村さとる、水沢めぐみの原画、曽田正人の複製原画から探る。
出展作品例
有吉京子「SWAN」、萩尾望都「フラワー・フェスティバル」、槇村さとる「Do Da Dancin´ヴェネチア国際編」、水沢めぐみ「トウ・シューズ」、曽田正人「昴」
マンガ家達にとって、バレエとは一体何か?また、バレエはマンガの中で描き尽くされたものなのか?バレエ・マンガの今後について考えるコーナー。
出展作品例
水野英子「ルジマトフに寄せたバレエ画」、魔夜峰央「パタリロ!(『バレエ入門』『バレエあれこれ』)」
※各コーナーの執筆者は以下の通り。なお、テキストは図録にほぼ収録。
リード文 1、「日本とバレエ」(芳賀直子)
リード文 2、「バレエ・マンガは少女の夢と憧れ」(倉持佳代子)
リード文 3、「本格バレエ・マンガの登場」(倉持佳代子)
リード文 4、「円熟期から次なるステップ」(倉持佳代子)
リード文 5、「バレエ・マンガの可能性」(倉持佳代子)
コラム 「バレエの成り立ちとロマンティックバレエ」(芳賀直子)
コラム 「ロシアで完成したバレエ」(芳賀直子)
コラム 「日本とバレエ」(芳賀直子)
コラム 「日本でのバレエ教育」(芳賀直子)
「抒情画に描かれたバレエ世界」(高畠麻子<高畠華宵大正ロマン館・主任学芸員>)
コラム 「白鳥というモチーフ」(ヤマダトモコ)
コラム 「赤い靴」(ヤマダトモコ)
コラム 「バレエ・マンガがつむぐ母と子の絆」(岩下朋世)
コラム 「学年誌のバレエ・マンガ」(岩下朋世)
コラム 「バレエ・マンガといじめ」(岩下朋世)
コラム 「谷ゆき子、超展開のバレエ・マンガ」(倉持佳代子)
コラム 「バレエ入門」(芳賀直子)
コラム 「バレエ・マンガを源流とするジャンル」(ヤマダトモコ)
コラム 「バレエ演目解説」(芳賀直子)
各作者プロフィール・あらすじ (小西優里・卯月もよ・倉持佳代子)
■関連イベント
・「オープニング講座・座談会 バレエ・マンガ展 外伝!」2013年7月13日(土)
・「出張バレエ教室 はじめてのバレエ」2013年8月14日(水)
・「水沢めぐみトークショー トウ・シューズとりぼん」2013年8月17日(土)
・「魔夜峰央トークショー 踊るギャグマンガ家」2013年8月18日
■ワークショップ
・えむえむワークショップ「モビールをつくろう」展示期間中
切り絵をしながらバレエのポーズやポジションの基礎を学び、バレエのモビールを制作するワークショップ。バレエの足の基本ポジションを体験できる「足のポジションをやってみよう!」コーナーも設置。
■資料
・バレエマンガ展出展リスト20130923.pdf(※無断転用禁止)
・図録『バレエ・マンガ~永遠なる美しさ』(太田出版)2800円<税抜>
・図書の家http://www.toshonoie.net/「バレエ漫画リスト」
■新聞寄稿
・倉持佳代子<少女たちの一番の憧れとして浸透>『SANKEI EXPRESS 2013年7月29日(月)』
・倉持佳代子<バレエ 憧れと悲壮感と>「いまどきマンガ塾」『朝日新聞(関西版夕刊)2013年8月2日(金)』
・倉持佳代子<一貫して母子の絆 描く>「中部マンガ研究所」『中部新聞 2013年8月22日(木)』
■告知ページはこちら
・企画展「バレエ・マンガ~永遠なる美しさ~」
・企画展「バレエ・マンガ~永遠なる美しさ~」英語版